幸恵の漢方コラム⓹
~丙午の年を健やかに過ごすための養生~
六月二十一日の夏至を迎えました。
夏至とは、一年のうちで最も昼の時間が長く、夜の時間が短くなる日のことです。太陽が一年で最も高い位置を通るため、日の出が早く、日の入りが遅くなります。
東洋医学では、夏至は自然界の「陽の気」が最も盛んになる節目と考えます。
つまり夏至は、暑さの盛りを迎える始まりであると同時に、これからの厳しい夏を元気に過ごすための準備を始める大切な時期でもあるのです。
夏は、草木が勢いよく成長し、生きものたちの活動も活発になる季節です。私たち人間も活動的になりますが、その反面、汗とともに身体のエネルギーである「気」や潤いを保つ「津液(しんえき)」が失われやすく、体調を崩しやすい季節でもあります。
今年は干支でいう「丙午(ひのえうま)」の年にあたります。
「丙」は太陽のように明るく燃え盛る火を表し、「午」も火の性質を持っています。
そのため丙午の年は、物事が勢いよく進み、人の気持ちも前向きになりやすい反面、熱がこもりやすく、気持ちが高ぶりやすい年とも考えられています。
昔から丙午にはさまざまな言い伝えがありますが、本来は吉凶を占うものではなく、
その年の自然界の気の流れを知り、暮らし方や養生を見直す目安として受け継がれてきました。
今年は、丙午の持つ火の性質と夏の強い陽気が重なるため、
「顔がほてる」
「汗をかき過ぎる」
「疲れているのに眠れない」
「動悸がする」
「気持ちが落ち着かない」
「イライラしやすい」
などの症状を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
特に更年期を迎えた女性は、年齢とともに身体を潤す力が少しずつ低下するため、
暑さや精神的な負担の影響を受けやすくなります。
のぼせ、発汗、不眠、めまいなどの症状が強く出ることもあります。
また、暑くなると冷たい飲み物やアイスクリーム、そうめんなどを食べる機会が増えます。しかし、冷たいものの摂り過ぎは胃腸の働きを弱め、食欲不振や下痢、むくみ、だるさの原因になることがあります。
夏こそ胃腸をいたわることが、元気に過ごすための基本になります。
冷たい飲み物は一気に飲まず、できるだけ常温のお茶や白湯を選びましょう。
朝の味噌汁や温かいスープは胃腸を目覚めさせ、一日の活力につながります。
薬味として生姜、みょうが、大葉などを取り入れるのもおすすめです。
夏には身体の熱を冷まし、水分を補ってくれる旬の食材がたくさんあります。
きゅうり、トマト、なす、冬瓜、枝豆、豆腐、すいかなどは、余分な熱を冷まし、身体を潤してくれます。
ただし、もともと冷え症の方や胃腸が弱い方は食べ過ぎないよう注意しましょう。
汗とともに失われやすい塩分やミネラルを補うためには、梅干し、味噌汁、海藻類、小魚なども役立ちます。
暑さで食欲が落ちても、身体を作る材料となるたんぱく質は不足しないよう心掛けたいものです。
鶏肉、卵、白身魚、納豆などは消化も良く、夏の身体を支えてくれます。
また、適度に汗をかくことは体温調節に必要ですが、汗のかき過ぎは気や水分を消耗し、
疲れや夏バテの原因になります。
炎天下で無理をせず、朝夕の涼しい時間帯に散歩や軽い体操、ストレッチなどを行い、気の巡りを整えましょう。
夜は寝苦しい日が続きます。エアコンを無理に我慢せず、室温は二十六~二十八度を目安に調整し、お腹や足元を冷やし過ぎないよう薄い掛け物を利用してください。
ぬるめのお風呂にゆっくり浸かることは、自律神経を整え、質の良い睡眠につながります。
丙午の年は、明るく前向きなエネルギーを私たちに与えてくれる年でもあります。しかし、人のために頑張り過ぎたり、忙しさに追われたりすると、知らないうちに心も身体も疲れてしまいます。
「今日はここまでにしよう」

「少し休んでみよう」
そんな気持ちの余裕を持つことも、大切な養生のひとつです。
この夏を健やかに過ごしてまいりましょう。
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暑さに負けない身体つくりしていきましょう♪
~おせっかいな漢方屋さんより~
漢方相談店 若林 幸恵

